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ロイヤルティとは? – 心理面/行動面の違い・高めるためのステップ/ポイントなど徹底解説!

2024/03/27

ロイヤルティとは? – 心理面/行動面の違い・高めるためのステップ/ポイントなど徹底解説!
コミューン編集部

コミューン編集部

「機能や価格帯は同じなのに、いつも同じメーカーの製品を買ってしまう」「他社製品よりも明らかに高いのに、気づいたらこのブランドを選んでしまっている」

こういった経験はありませんか?このような企業やブランドに対する特別な行動をもたらす感情を「ロイヤルティ」と呼びます。

本記事では、これからの時代、企業が継続的に利益を上げ続けるために必須とされている「ロイヤルティ」について詳しく解説いたします!

この記事を読むことで、「ロイヤルティとは何か」について0から理解できるようになるでしょう!

ロイヤルティとは

ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やプロダクト・サービスに対して感じる「信頼」「愛着」のことです。

「Loyalty」(ロイヤルティ)とは直訳すると「忠誠心」ですが、一般的にビジネスで用いられる場合は、顧客がある企業やブランドに対して抱く、強い支援の気持ちを意味します。忠誠心というと少し大袈裟ですが、ファン贔屓(ひいき)にしている状態、と考えれば良いでしょう。

ロイヤルティの高い顧客は、その企業の提供するプロダクトやサービスを繰り返し利用し、口コミや宣伝もするなど、企業収益への貢献度が高いことが知られています

誕生した背景

ビジネスシーンでは長らく「顧客満足度」が重視されてきました。顧客が商品や接客サービス、アフターフォローなどに満足感を得ていることが成功の指標とされたのです。

しかし、顧客満足度調査が普及するにつれ、「顧客満足度が高い=継続的に購入してくれる」とは限らないことがわかってきました。

その商品を買った直後に満足感が高くても、コールセンターの対応に悪印象を受ければ、おそらく次は買ってくれないでしょう。その逆もあるはずで、商品に対する満足感は高くなくてもアフターフォローが完璧だったら、次も買ってみようという気になるかもしれません。

しかし、商品を買った直後の満足感しか調査しなかったら、正しい予測をすることができないでしょう。

そこで、一度の購入や体験にだけスポットを当てるのではなく、より長期的全体的な視点から企業に対する信頼や愛着を測るために、ロイヤルティという考え方が生まれました。

ロイヤルティの数値は、顧客の行動との相関が強いことが明らかになっています。ロイヤルティを調査することによって、より事業成長につなげることができるようになったのです。

ロイヤリティとの違い

ビジネスの世界では、「ロイヤルティ」と似た言葉で「ロイヤリティ」もよく使われます。日本語だと紛らわしいですが、英語に直せば明確に別の単語ということがわかるでしょう。

ロイヤリティ(Royalty):王位・王権、王族、特許使用料、著作権使用料

→特許権や著作権、商標権などの権利の使用料を指すことが一般的。例えば、フランチャイズ加盟店が本部に使用料を支払う際に「本部に売上の〇%のロイヤリティを払う」、または、音楽や写真の使用料を支払う際に「ロイヤリティを著作権者に払う」といった形で使用する。

ロイヤルティ(Loyalty):忠誠・忠義、愛情・愛着

→マーケティングや人事の用語といて「ロイヤルティ」「従業員ロイヤルティ」と使われることが一般的。

このように意味や使われる場面は全く異なるため、区別して理解する必要があります。

心理ロイヤルティと行動ロイヤルティ

ロイヤルティは、心理面と行動面の二つに分けて考えることができます。

心理ロイヤルティ

ある企業や商品・サービスに対して愛着や信頼を感じている状態です。心理面から捉えたロイヤルティとなります。
「あのブランドの服を着ていると幸せ」「あの車について考えていると楽しい気持ちになる」といった状態に当たります。

心理ロイヤルティを形成する主要な要因は以下の通りです。

【顧客満足】
顧客の満足度合いのこと
例)『ビジネスホテルA(※わかりやすいように全ての例に架空の”ビジネスホテルA”を使用しています)は、宿泊代金や接客サービスが良いので何度も利用してしまう』

【相違性】
ある企業や商品に対してユニークだと感じている度合いのこと
例)『ビジネスホテルAは、他のビジネスホテルとは一味違うのでまた利用したくなる』

【顕現性】
当該企業やブランドのイメージが顧客の中で支配的である度合いのこと
例)『ビジネスホテルと言われればAを思い浮かべるので、ついいつも予約してしまう』

【自己・ブランド連結性】
自分の価値観と企業・ブランドのイメージが似ている事による共感性の度合いのこと
例)『ビジネスホテルAのポリシーに共感できるので、周りに勧めたくなる』

「好き」という感情は、競合から魅力的な提案があったとしても「嫌い」にはならないため、ロイヤルティは状況の変化にあまり左右されません。その反面、顧客の期待や信頼を裏切るような行為があった場合は、一気に心理ロイヤルティが低下してしまう恐れがあります。

行動ロイヤルティ

ある企業の商品・サービスを継続的に利用している人に勧めているという状態です。行動面から捉えたロイヤルティとなります。
「昨年、あのドラッグストアを〇回利用した」「あのスーパーで月〇円以上購入した」といった状態に当たります。

行動ロイヤルティを形成する主要な要因は以下の通りです。

【スイッチングコスト】
別の商品・サービスにスイッチする際に感じる経済的・社会的・心理的負荷の度合いのこと
例)『せっかくここまでポイントを貯めたから、どうせなら特典がもらえるまでAを使おう』

【バラエティ・シーキング】
異なったものや新しいものへの興味や、同じものへの飽きに対する刺激を欲する度合いのこと
例)『いつも同じビジネスホテルを利用しているから、今日はAに泊まってみよう』

【習慣的行動】
行動が習慣となっている度合いのこと
例)『いつもAを利用しているので、他のホテルを利用することが考えられない』

【立地利便性】
利用する上での立地による利便性の度合いのこと
例)『Aは必ず駅前にあるので、とても利用しやすい』

心理ロイヤルティと行動ロイヤルティは似て非なるもの

心理ロイヤルティと行動ロイヤルティは全く別のものです。どちらかが上がれば、もう片方も上がる、というものではありません。

例えば、カフェを頻繁に利用する顧客がいたとして、aさんは「通勤ルートにあって都合が良いから」(行動ロイヤルティ)、bさんは「お店の雰囲気や味が好きだから」(心理ロイヤルティ)という理由だったとします。どちらも売り上げには貢献してくれそうですが、aさんの場合はオフィスのもっと近くにカフェがオープンしたら、そちらになびいてしまうかも知れません。一方、bさんは競合店がオープンしても、繰り返し利用してくれるでしょう。

このように心理ロイヤルティと行動ロイヤルティは似て非なるものなのです。しっかりと4象限を分けて意識することで、顧客に効率的にアプローチできるようになります。

ロイヤルティの4象限

①真のロイヤルティ(心理:高、行動:高)
総合的なロイヤルティが最も高く、企業やブランドが最重要視すべき顧客層です。多少の状況の変化は顧客が吸収してくれるため、外部環境に依らずロイヤルティが維持されます

②見せかけのロイヤルティ(心理:低、行動:高)
一見ロイヤルティの高い行動をとっていますが、その実、心理面での結びつきがないので、状況が変化すれば簡単になびいてしまう恐れがある顧客層です。

差別化要因が少なく、利用しやすい日用品サービス業によく見られます。よく利用するコンビニや交通機関を思い浮かべて貰えばわかりやすいと思いますが、おそらく、多くの人が特別な思い入れがあって利用しているわけではないでしょう。

利用されている現状に満足せず、心理ロイヤルティを高める必要があります。

③潜在的なロイヤルティ(心理:高、行動:低)
何らかの理由があって行動には現れていないが、とても好意的な印象を抱いてくれている顧客層です。

「憧れているが高くて買えない」高級外車や、「好きだけど遠いためなかなか利用できない」リゾートホテルなどが好例です。

心理ロイヤルティは維持しつつ、より購買行動につながるよう働きかける必要があります。

④ロイヤルティなし(心理:低、行動:低)
興味関心が無かったりそもそも認知していなかったりする顧客層です。心理・行動の両面でロイヤルティを向上できるよう、手を打つ必要があります。

顧客満足度との違い

顧客満足度とは

顧客満足度とは、サービスやプロダクト、あるいは認知キャンペーンやアフターフォローといった施策に対する顧客の満足度を示すものです。多くの企業が顧客満足度を重視しており、中には満足度調査を受けたことがある人もいるかもしれません。

ロイヤルティも顧客満足度も、どちらも企業やブランドに対する評価を表しているという点では同じです。 しかし、評価の対象範囲には違いがあります。

評価の対象範囲に違い

顧客満足度の場合、商品やサービスの利用、あるいは接客やアフタフォローといった”一部分の体験”にスポットを当てています。決して、企業やブランド全体への評価を求めているわけではありません
商品を買った後に「その商品に満足したか」、お問い合わせをした後に「今の問い合わせ対応によって課題は解決できたか」を聞くというわけです。

一方で、ロイヤルティは、企業やブランド全体に対する「愛着」や「信頼」を聞きます。具体的な商品や施策レベルでの評価を聞くわけではありません

必ずしも比例関係にあるわけではない

両者は必ずしも比例するとは限りません。もちろん相関関係があることは間違い無いですが、「顧客満足度は高い(低い)が、ロイヤルティは低い(高い)」というケースも起こり得ます。

例えば、とても好きなファッションブランドがあったとして、そのブランドが一時期あるキャラクターとコラボしたとします。そのキャラクターを好きでなければ、キャンペーンに対する満足度は低いかもしれません。しかし、それでも「ブランドが好き」という思いまで消えることはないでしょう。つまり、顧客満足度は低いがロイヤルティは高いという状態になるのです。

一方で、逆のパターンも考えられます。最近買った日用品を何か思い浮かべてみてください。歯ブラシでもシャンプーでも結構ですが、何か不満を抱いている部分はあるでしょうか。もし満足度調査を受けたとして、不満がないのであれば「満足している」という回答になるでしょうが、かといって特別な思い入れがあるわけでもないでしょう。つまり、顧客満足度は高いがロイヤルティは低いという状態になるのです。

ロイヤルティを高めるメリット

①リピート率・頻度の向上

ロイヤルティが高い顧客は、特定企業やブランドの商品を繰り返し購入する傾向が明らかに見られます。多少の価格差は関係ありませんし、競合の魅力的な新商品にもなびきません。皆さんの中にも、「〇〇を買うならこのメーカー」「〇〇と言ったらこのお店」といったようにほかに見向きもせず選んでしまう企業やブランドがあるでしょう。信頼や愛着というのは、それほどまでに強い行動原理になるのです。

特に現代社会は成熟し、「安くて良いもの」が溢れています。製品やサービスそのもののスペックで差をつけることが難しく、熾烈な価格競争を余儀なくされている商品もたくさんあるでしょう。このような状況では、顧客はわずかなきっかけでも他社製品にスイッチしてしまう可能性があります。

ロイヤルティを高めることは、このような厳しい環境において強力な差別化要因となり、顧客に選ばれ続けることにつながるのです。

②顧客単価の上昇

ロイヤルティを高めることは、顧客単価を上昇させることにもつながります。より上位の製品を買ってくれるアップセルや、利用製品以外の関連製品も買ってくれるクロスセルが発生しやすくなるということです。

お気に入りのお店で、買う予定がなかったものまでつい買ってしまったという経験はありませんか?例えば、好きな家具屋があったとして、狙っていたダイニングテーブルだけでなく、つい合いそうなチェアや食器まで一緒に買ってしまったという具合です。

ロイヤルティはリピート率・頻度の向上だけでなく、顧客単価の上昇にもつながるのです。

③口コミによる拡散

ロイヤルティの高い顧客は、友人や知人にも勧めてくれる可能性があります。基本的に、人は自分がよかったと感じた体験を、仲の良い人にも同じように体験してもらいたいという心理があります。そのため、特にインセンティブなどなくても、積極的に評判を広めてくれるのです。

友人や知人からの口コミの評価は計り知れません。普段の付き合いがあるので信頼できますし、善意で言ってくれていることがわかるので素直に受け取ることができます。結果として、他のマーケティング施策よりも圧倒的に行動につながりやすいのです。

特に、現代ではSNSが発達し、個人の情報発信力が格段に高まっています。十数年前までは知り合いの輪の中でしか広まらなかった感想が、今では何百万人もの目に触れるようになりました。だからこそ、ロイヤルティを向上させることの威力が増しているのです。

ロイヤルティの計測方法

ロイヤルティを測る指標はたくさん存在します。これらを大きく二分すると、「NPS®や継続利用意向、感動指標といった主観的感情を計測する指標」と、「LTVや購入単価・頻度・回数、利用時間・期間・頻度といった客観的行動を計測する指標」になります。 気をつけなければならないのが、なるべく主観的感情を計測した方が良いということです。

客観的行動よりも主観的感情を重視

なぜ主観的感情を優先した方が良いのかというと、客観的行動は心理ロイヤルティを正確に反映していない場合があるからです。いわゆる「見せかけのロイヤルティ」です。

ロイヤルティには、行動面と心理面の二つがあるという話をしました。行動面・心理面と、それぞれの高低という2軸で分類した4象限で考えると、行動面、心理面ともにロイヤルティが高い「真のロイヤルティ」が目指すべき状態になります。
そのためには、当然行動ロイヤルティも重要なのですが、心理ロイヤルティは行動ロイヤルティに繋がりやすいことを踏まえると、最重要視すべきは心理ロイヤルティとなります。

しかし、LTVや購入単価・頻度・回数といった指標では、心理ロイヤルティを正確に測ることができません。利用期間が長い顧客の中にも「切り替えるのが面倒だから使っている」という顧客は存在しますし、購入単価が高い顧客の中にも「ちょうど良い代替品が見つからないから使っている」という顧客が存在するでしょう。

こうした「見せかけのロイヤルティ」は、先ほども述べた通り環境の変化に弱いです。企業にとって重要なのは顧客との心理的な結びつきであり、だからこそ、主観的感情を計測する調査を用いるべきです。

NPS®調査

ロイヤルティを測る上で最もよく利用されているのが、NPS®調査です。

計測方法はとてもシンプルです。

①「このプロダクト・サービスを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか?」と質問し0~10点の11段階で回答してもらう

②回答者を点数に応じて、「推奨者」「中立者」「批判者」の3つのセグメントに分類し、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた値NPS®のスコア

NPS®は業績成長との相関が強く観測されています。将来の行動を聞いているため実際の行動を反映しやすいという点と、他人に勧めるという行為は責任が伴うため本音が表れやすいという点が、理由として考えられます。

ロイヤルティを高めるステップ

ロイヤルティを定量化する

まずはロイヤルティの現状を把握する必要があります。”どのような顧客がどのような感覚を抱いているのか”、”そしてその原因が何なのか”、がわからなければ効果的な打ち手を考えられないでしょう。

その際気をつけるべきは、データを数値化することです。正確な、そして共通した認識を持つためにはデータを客観的に扱える必要があります。定性的な感覚のままだと、どうしても認識に揺れが出てきてしまうでしょう。

一方で、数値データだけでは、顧客のインサイトを導き出せないこともあります。例えば、あるファッションブランドにおいて、「ECサイトが使いやすい」という評価を多数集めていたとします。しかし、それだけでは「使いやすい」ということが何を指しているのかわかりません。「購入までのステップが少ない」ことかもしれませんし、「過去の購入履歴が見やすい」ことかもしれません。

顧客がロイヤルティを感じる本質が分からなければ、ロイヤルティを高めるための具体的なアクションに繋げられないでしょう。だからこそ、数値データの裏にある気持ちを深掘りする必要があるのです。

そこで有効になるのが、フリーアンサーです。顧客に自由に回答してもらうことで、数値上では明らかにならなかった感情の理由に辿り着くことができます。

数値データとフリーアンサーを組み合わせることで、ロイヤルティの現状とその理由を明瞭に把握できるようになるでしょう。

目標/ターゲットを設定する

次は、ロイヤルティの目標値ターゲットを設定する必要があります。

一口に顧客と言っても、さまざまなセグメントに分けることができます。
最も大きな区分として「ロイヤルティが高いor低い」が挙げられますが、この二分を適用するだけでも、「ロイヤルティが高い顧客を増やす」か「ロイヤルティが低い顧客を減らす」の二つの戦略が考えられるようになります。顧客を分けることで戦略も具体化され、そのセグメントに特化したより効果的な施策が打てるようになるのです。

顧客の分け方に関しては、ロイヤルティ収益性の2軸で考えると良いでしょう。
ロイヤルティ向上は、あくまで収益向上の手段です。したがって、ロイヤルティを向上させた結果として、どれほど収益にインパクトがあるのかを念頭に置いて、ターゲットを設定する必要があります。
最も優先度が高いのは、収益性が高くロイヤルティが低い顧客(=離脱候補者)です。彼らはスイッチングリスクは高いが、自社の収益への影響も大きいので、小さな改善で大きなインパクトを生み出すことができます。

カスタマーエクスペリエンスを改善する

カスタマーエクスペリエンスとは、顧客がサービスやプロダクトを知り興味を持ってから、購入後にアフタフォローを受けるまでの全ての体験を意味する言葉です。
ロイヤルティは、カスタマーエクスペリエンスの結果として向上したり低下したりします。

ロイヤルティを定量化し、目標/ターゲットを設定したら、いよいよ具体的なアクションを考える段階に移ります。その際のポイントは、カスタマーエクスペリエンスを一連の流れとして可視化することです。これを図式化したものをカスタマージャーニーマップと言います。

なぜ一連の流れとしてカスタマーエクスペリエンスを見る必要があるかというと、それによってより顧客視点に近づけるからです。
一般的にカスタマーエクスペリエンスは、各部門の管轄領域ごとに捉えられがちですが、それでは企業と顧客の関係の一側面を切り出したに過ぎず、顧客から見た自社の姿を正確に把握することはできません。

カスタマージャーニーマップを作成すれば、個々の部門を横断したカスタマーエクスペリエンス全体を捉えることができるので、「一人の顧客の視点」としてより実態に即した形で自社を見ることができます。
このような視点であれば、「実は異なる部門が関わるつなぎの箇所でカスタマーエクスペリエンスの毀損が発生している」「店舗利用後のメルマガは効果が高い」といった発見ができるのです。

ロイヤルティを高めるポイント

①まずは企業・ブランドの自己開示

私たちは、よくわからない相手を信頼したり好きになったりすることはできません

これは、人間関係に置き換えてみればよくわかるでしょう。
相手がどんな属性で、どんな性格で、どんな考え方で、どんな信念を持っているのか——パーソナルな情報を知ることで、徐々に好感を抱き、尊敬し、信頼し、愛情を感じるようになるのです。
何者かわからないにもかかわらず、心理的に強く繋がることは不可能でしょう。

同様のことが企業・ブランドと顧客の関係においても言えます。ロイヤルティを形成する上では、前提として企業やブランド側の積極的な自己開示が必要なのです。
どんなストーリーが背景にあり、どんな使命感を持ち、どんな行動規範で、どんな気持ちで顧客に接しているのか——こうした「自分たちが何者なのか」という情報を開示することで、次第にファンになってくれる顧客が集まるのです。

自己開示する手法として、
・コーポレートサイトの企業理念ページを充実させる
・商談時にサービスやプロダクトの解説に付随して、自社のビジョンやミッションを説明する
・商品に自社のストーリーや想いなどを同封する
などが挙げられます。

②求められているのは期待を上回る感動体験

ロイヤルティが高まるのは、顧客の心が大きく動かされた時です。

顧客は、無償で企業やブランドに信頼や愛着を抱くわけではありません。”何か”をしてもらったという感謝があるからこそ、その結果として信頼や愛着を抱くのです。

そしてその”何か”は、頭で納得してもらう価値ではなく、心で満足してもらう価値でなければなりません。頭で納得してもらう価値は、あくまで価格の範囲内です。リピート利用や口コミといった価格を支払う以上の結果は得られないでしょう。

ロイヤルティとは、企業・ブランドと顧客の「感情レベルでの結びつき」です。そのため、ロイヤルティを形成するためには、顧客の期待を上回るような、心を動かす感動体験が求められているのです。

頭で納得する価値と心で満足する価値がどう違うのか、高級旅館を例に考えてみましょう。

その旅館は、季節の素材を生かした美味しい料理と、景色の美しい天然温泉が有名です。しかし、料理と温泉を提供するだけでは、頭で納得する価値に留まってしまうでしょう。あくまで宿泊客の期待の範囲に収まる提供価値だと言えます。

しかし、例えば、連れのお子様の好みに合わせて、特別に料理をアレンジしてくれたらどうでしょうか。また、レンタカーがトラブルを起こした際に、旅館の社用車を手配し対応してくれたらどうでしょうか。次回泊まる時には、好きなお酒の銘柄枕の硬さを覚えてくれており、万全の準備をしてくれていたらどう感じるでしょうか。

これらは、支払った金額を超えるサービスです。顧客が予期しているものではありません。このように期待を上回る感動体験をするからこそ、「またこの旅館に泊まりたい」「多少の価格差は関係ない」「積極的に周りに伝えたい」というロイヤルティが生まれるのです。

③購買直後こそベストタイミング

企業やブランドに対する関心度が最も高いときこそ、ロイヤルティを最も大きく左右するタイミングであると言えます。

では、関心度が最も高まるタイミングとはいつでしょうか。それは「購買直後」です。

一般的に購買直後は、「どんな商品なんだろう」「使ってみてよくなかったらどうしよう」という期待や不安があり、商品に対する注目度が高くなっています。このタイミングで提供された情報は、顧客の印象に残りやすく、その後の企業やブランドのイメージを決定づけてしまいます。

だからこそ、「この商品を選んでよかった」と思われるように、特別なメッセージを送付したり手厚いサポートを実施したりすることが効果的なのです。

まとめ

多くの市場が縮小傾向にあり、類似製品が溢れ顧客の移り変わりが激しくなっている現代において、一回のお客様を一生のお客様にする努力が、どの企業にも求められています。

一生のお客様になっていただく秘訣として、ロイヤルティという概念を紹介しました。

顧客が自社をどのように評価しているのか定量的な調査をした上で、課題を発見し、カスタマーエクスペリエンスを効果的に改善することで、より顧客に愛される・信頼される企業になりましょう。

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