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エクスパンションとは?- 0からわかるカスタマーサクセス用語集

2024/03/27

エクスパンションとは?- 0からわかるカスタマーサクセス用語集
コミューン編集部

コミューン編集部

エクスパンションとは

エクスパンション(Expansion)とは、英語で「拡張」のことで、アップセル、クロスセル、パッケージセルなどによる「顧客の利用拡大」を意味します。ここでは、エクスパンションを考えるうえで欠かせない、「アップセル」「クロスセル」「ダウンセル」の3つの用語について説明していきます。

アップセル

アップセルとは、商品の購入を検討している顧客に対して、通常よりも高価格帯にある上位商品を勧めることです。既存顧客に対しては、現在利用している・既に購入している商品の上位商品の購入・導入を勧めることを意味するマーケティング用語です。近年ではSaaS(Software as a Service)モデルの増加に伴い、後者の意味で使われることが多くなっています。たとえば、既に「YouTube」を利用している顧客に対して、有料版の上位サービス「YouTube Premium」を導入してもらう、「Dropbox」の個人プランをファミリープランにアップグレードしてもらうといったことで利用の拡大を図ります。

クロスセル・パッケージセル

クロスセルやパッケージセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に対して、その商品に関連する商品やオプション商品の購入も併せて勧めることを意味するマーケティング用語です。

たとえば、Amazonで商品を購入しようとすると「よく一緒に購入されている商品」「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」といったアテンションが表示されることがありますが、これはまさにクロスセルといえるでしょう。

ダウンセル

ダウンセルは、アップセルやクロスセルとは逆に、ある商品を購入しようと検討している顧客に対して、想定している商品の下位商品を紹介する手法です。主に購入の検討を諦めようとしている顧客や、現状検討している商品では機能が過剰だと感じている顧客に対して有効な手法として知られています。SaaSビジネスでは、単純に顧客がダウングレードしたことを指して使われることもあります。

エクスパンションのメリットとデメリット

エクスパンションのメリット

顧客単価・顧客生涯価値(LTV)の上昇

アップセルやクロスセルは、シンプルに顧客単価の上昇、並びに、その顧客が生涯でどれだけ利益を生み出すかを示す指標「顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)」の上昇といったメリットがあります。

また、既存顧客によって新たな利益を生み出していく構造となっているため、新規顧客開拓コストがかからず業務効率化のうえでも重要です。

アップセルクロスセルをした顧客がどの程度いるかによって、サービスの適正や顧客満足度を知ることもできます。

エクスパンションのデメリット

一方、エクスパンションを図るうえでのデメリットは、アップセル・クロスセルを強く推奨しすぎることで、逆に顧客に敬遠され、ダウンセルや解約のリスクがある点です。顧客の利用頻度や時間なども分析し、適切にアプローチしていくことが求められます。

エクスパンションの計算方法

エクスパンションがどれだけあったかを知ることは、顧客満足度を知ることにつながるだけでなく、提供しているサービスが適正であるか、現状提供しているサービスの課題がどこにあるのかを知るうえでも役立ちます。

エクスパンションMRR

既存顧客からの追加収益の測定には、エクスパンションMRRが有効です。

MRRとは、「Monthly Recurring Revenue」の略で、日本語では「月間経常利益」と訳されます。エクスパンションMMRは「前月より取引額の上がった顧客」の利益率を図る指標です。

コントラクションMRR

エクスパンションMRRとは逆に、ダウングレードなどによって前月より取引額の下がった顧客の収益減について知るための指標は、コントラクション(Contraction)と呼びます。これを月間集計するとコントラクションMRRと呼びます。

その月のダウンセルを見ることで当月の収益減について知ることができます。

MRRの4つの指標

エクスパンションMRRは以下の形で求めることができます。

エクスパンションMRRの計算式

エクスパンションMRR=アップセル+クロスセル

たとえば、月額1000円のエントリーサービス「ベーシックプラン」と月額2000円の上位サービス「プレミアムプラン」、「ベーシックプラン」に100円でつけることのできる「サポートサービス」のあるサブスクリプション型サービスがあったとします。

10人の顧客のうち、先月までは6人が「ベーシックプラン」、4人が「プレミアムプラン」に加入しており、今月から、「ベーシックプラン」から「プレミアムプラン」へ移行した顧客が1人、「ベーシックプラン」に「サポートサービス」をアドオンした顧客が1人いたとします。

前月の利益は、

1000円×6人+2000円×4人=14,000円 となります。

一方今月の利益は、

(1000円×4人)+(1000円+100円)×1人+(2000円×5人)=15,100円 となります。

顧客数は先月も当月も同じく10人ですが、利益率が上がっていることがわかります。

また、サポートサービスへの加入や上位サービスへのアップグレードがあったことで、サービスの顧客満足度が高いことも推しはかることができます。

まとめ

複数の月額プランやアドオンを持つサービスを展開している企業の場合、全体の売上を知ることはもちろん、エクスパンションMRRやコントラクションMRRをはじめとする各指標も重要です。MRRを参照し、自社サービスのどこに課題があるのかを知り、現状を見つめなおしてみてください。