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ファンベースとは?重要な考え方と実践アプローチ・施策例

2024/03/27

ファンベースとは?重要な考え方と実践アプローチ・施策例
コミューン編集部

コミューン編集部

ファンベースとは、「ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方」のことです。

ファンベースの特徴は、従来の既存顧客を重視するマーケティング戦略よりも、はるかに深い度合いで、ファンに比重を置くことにあります。

ファンベースでは、新規顧客よりもファンを優先し、ファンを中心に活動を行います。

具体的な実践アプローチは、次の3つです。

・共感を強くする
・愛着を強くする
・信頼を強くする

「ファンベース」は、これからのビジネスに不可欠な概念です。しかしながら、表面的な理解だけで取り組んでも、期待する効果は得られません。

本記事を通じて、ファンベースの肝となる考え方と、「なぜやるべきなのか?どうやるべきなのか?」をインプットしていただければと思います。

1. ファンベースとは?基本となる重要な考え方

最初にファンベースとは何か、重要な考え方から理解していきましょう。

1-1. 「ファン」を何よりも大切にする

「ファンベース」とは、ファンを大切にして、ファンを土台とした成長を目指す考え方を指します。

ファンベースの提唱者として知られているのは、“さとなお”こと佐藤尚之氏ですが、以下のとおり定義されています。

【支持され、愛され、長く売れ続けるための「ファンベース」とは?】

人口急減やウルトラ高齢化、超成熟市場、情報過多などにより新規顧客獲得がますます困難になっている現在、生活者の消費行動を促すためには「ファンベース」という考え方が有効です。

「ファンベース」とは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方のこと。

共感、愛着、信頼の3つを強化していくことで、顧客の支持を得ることができるのです。

出典:東京都デザイン導入支援セミナー

「自社のファンを大切にする」というと、普通のことのように聞こえるかもしれません。

しかし、ファンベースでは、大切にする度合いが強い点を、明確にしておきましょう。

「ファンの方たちを、“何よりも”大切にして、ファンの方たちに幸せになってもらえる関係を築く」

という信念が、ファンベースにはあります。

1-2. ファン=大切にしている価値を支持してくれる人

ファンベースにおける「ファン」は、単なる愛用者という意味ではありません。佐藤氏は、以下のように述べています。

ファンベースとはファンの方たちを何よりも大切にしてより幸せになってもらう関係を築きながら、中長期的に売上や価値を上げていくという考え方です。

ではファンって何かというと、僕の定義するファンとは、企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持してくれている方たちを意味します。

出典:和田裕美, 『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』, かんき出版, 2022年, p.60

ここからわかる重要ポイントは、ファンベースを実践するとき、「自社商品・サービスの愛用者を増やそう」とするのは、間違いであるということです。

そうではなく、
「私たちが大切にしている価値を、わかってくれて、支持してくれる人を増やそう」
という取り組みが、カギとなります。

1-3. “売る”より“つながり”のほうが大事な時代へ

ビジネス観点から見たときに、
「なぜ、今、ファンベースなのか?」
という問いに対する答えは、“顧客とのつながり”が重要な時代へと突入しているからです。

強力なつながりのある顧客(=ファン)の存在なしに、ビジネス成長は見込めない状況になっています。

ファンベースに関する本を執筆した、和田裕美氏の話がわかりやすいので、引用しましょう。

結論から言うと「売る」より「つながり」のほうがずっと大事だから目先の利益に走らないほうがいいという話です。

これって一部の人からするとぬるく聞こえてしまうかもしれませんが、人口減少、高齢化、若者の購買意欲減少、不景気なのに物価が上がるというスタグフレーションの渦中にいる我々日本人は本当に崖っぷちにいるわけで、早急にセールスの概念を「売る」から「つながり」に変えていく必要があるのだと私は思っています。

出典:和田裕美, 『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』, かんき出版, 2022年, p.20

〈人口が減り、消費も減るという未来に向かっての施策は1人のお客さまがあなたの商品やサービスを何度も何度も買ってくださる。
1人のお客さまからどんどん新しいお客さまに広がり続けるというシステムをつくるということ〉
と和田氏は述べています。

ファンなしにビジネス成長は見込めない状況になっていることはわかりました。
ではビジネスにおいてファンが「どのように」貢献するのでしょうか。
こちらの資料では、ファンによる重要なビジネス貢献を3つ挙げて解説します。

1-4. 企業・ブランドから自治体まで広く広がるファンベース

実際、多くの組織がファンベースに戦略を切り替えています。

佐藤氏の著書『ファンベース』が発刊されたのは2018年のことですが、息の長いベストセラーとなり、Amazonのレビューは1,000件を超えています(2023年2月時点)。

企業・ブランドのマーケティング戦略への採用はもちろんのこと、近年では自治体へのファンベース導入も目立っています。

以下は、紫波町やひたちなか市の例です。

【茨城県紫波町】

出典:ひたちなか市 公式ウェブサイト

ファンベースは、一過性のブームではなく、新しいマーケティングのトレンドとして根付き始めており、本腰を入れて取り組みたい時期といえます。

1-5. 共感・愛着・信頼の3つのアプローチ

ファンベースの根幹となるのは、「共感・愛着・信頼」の3つのアプローチです。

【共感を強くする】

A. ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
B. ファンであることに自信を持ってもらう
C. ファンを喜ばせる。 新規顧客より優先する

【愛着を強くする】

D. 商品にストーリーやドラマを纏わせる
E. ファンとの接点を大切にし、 改善する
F. ファンが参加できる場を増やし、活気づける

【信頼を強くする】
G. それは誠実なやり方か、自分に問いかける
H. 本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I. 社員の信頼を大切にし「最強のファン」 にする

出典:佐藤尚之,『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

ファンベースの実践は、上記に取り組むところからスタートします。それぞれの詳細を、続けて解説します。

2.ファンベースのアプローチ(1)共感を強くする

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

1つめのアプローチは「共感を強くする」です。

共感とは、「そのとおりだ」と感じる気持ちのことです。

【共感する心情の例】

「うんうん。本当にそのとおり」
「そうそう、それそれ!」
「こういう商品が、欲しかったんだ」
「さすが、よくわかってくれてる」
「この会社の考え方には、同意する」

上記の心情が向けられる対象は、「企業・ブランド・商品が大切にしている価値」です。

実際に行うアクションは、次の3つに細分化されます。

【共感を強くするアクション】

A. ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
B. ファンであることに自信を持ってもらう
C. ファンを喜ばせる。 新規顧客より優先する

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

以下で詳しく見ていきましょう。

2-1. ファンの言葉を傾聴する

共感を強くする第一歩の取り組みは、企業・ブランド・商品が大切にしている価値」を明確化することです。

具体的なやり方として、佐藤氏が推奨しているのは、
〈「どうやら『このような価値を大切にしている人』が、ファンになってくれている」という事実から逆算して、「あなたの企業やブランド、商品が大切にしている価値」を考え、絞っていく〉
というやり方です。

既存ファンの言葉の中に、共感ポイントが数多く隠れているので、それを詳しく知ることからスタートします。

【傾聴する施策例】

ファンミーティング:ファンが集い、ファン同士で盛り上がる中で、共感ポイントを再発見してもらう
各種リサーチ:ファンに対してアンケート調査やインタビューを行う
ソーシャルリスニング:SNS上の会話を収集・分析する

ファンが実際に共感してくれている部分はどこなのかを知り、そこから逆算して、自社が大切にしている価値の輪郭をクリアにしていく、という作業を行いましょう。

2-2. ファンであることに自信を持ってもらう

次に、ファンが自分の気持ちに自信を持ち、安心して共感を強められるよう働きかける必要があります。

どういうことかといえば、
「人は、自分ひとりでは、自分の気持ちに確信を持てない」
という特性があるのです。

たとえば、
「このブランドの考え方、いいな」
と共感の種が芽生えても、その気持ちを後押ししてくれる他者の存在がなければ、共感はうまく育ちません。

ファンであることに自信を持ってもらうために最も有効なのは、
〈他のファンのオーガニックな言葉を読むこと〉
だと、佐藤氏は説いています。

【自信をもってもらうための施策例】

・ファンの声や、有名人ファン・有識者のインタビューなどのコンテンツを制作する
・SNSやブログのファンの声を、SNSの公式アカウントでシェアする
・メディアによる記事や動画でバズを作る
・大勢の人が認知するマスメディアに露出する

自分がいいなと共感したものを、他の人たちも推していることがわかると、安心してファンでいられます。

2-3. ファンを喜ばせる

傾聴し、自信を持ってもらったら、次に実践すること「ファンを喜ばせること」です。

ファンからの傾聴で発見した“共感ポイント”を出発点とすることで、
「本当にファンが喜ぶことは何か?」
が見えてきます。

「企業・ブランド・商品が大切にしている価値」を支持してくれている人たちが喜ぶことを、誠実に考え、心を込めて実行していきます。

ここで重要な発想の転換は、「新規顧客よりもファンを優先する」という明確な信念を、強く意識的に持つことです。

【ファンを優先する例】

・新商品の発表をファンミーティングで行う
・特典や割引を新規顧客ではなくファンに対して提供する
・ファンの心のツボにぴたりとはまる商品改良を行う

繰り返しになりますが、“ファンにとってのツボ”を外さずにファンを喜ばせるためには、「共感ポイント」を出発点として施策を考えることが重要です。

どうしたらファンが喜んでくれるのかわからないときは、「傾聴」のプロセスを、何度でもじっくり行いましょう。

3. ファンベースのアプローチ(2)愛着を強くする

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

2つめのアプローチは「愛着を強くする」です。

愛着は、「ブランドや商品を他に代えがたいものにする」ためのキーとなります。

注意したいのは、ファンベースでは、「他に代えがたいものにする」を、USP(Unique Selling Proposition:差別化された独自の強み)の文脈では、捉えないことです。

USPではなく、「ユーザー体験・ストーリー・思い出・ドラマといった観点から創出する点に、ファンベースの特徴があります。

【愛着を強くするアクション】

D. 商品にストーリーやドラマを纏わせる
E. ファンとの接点を大切にし、改善する
F. ファンが参加できる場を増やし、活気づける

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

以下で詳しく見ていきましょう。

3-1. 商品にストーリーやドラマを纏わせる

まず「商品にストーリーやドラマを纏わせる」ことを実践します。

「モノ」ではなく、「コト」を纏った商品に、私たちは愛着を覚えるからです。

【コトの例】

・創業ストーリー
・商品開発での苦心・苦労
・そのプロジェクトにかけられた想い
・作り手のこだわりや情熱
・失敗や挫折とそれを乗り越えたストーリー

モノの背景に「人」の存在が感じられたとき、それが愛着の種となります。

自社のブランドや商品・サービスに、「ヒューマンドラマ」を感じられる状態になっているか、点検しましょう。

ストーリーやドラマのコンテンツを準備するだけでなく、“ちゃんと見せる”、つまりアクセスしやすくしておくことにも、留意します。

3-2. ファンとの接点を大切にし改善する

次に、ファンとのあらゆる接点(タッチポイント)を、ひとつずつ丁寧に改善していきます。

地道な作業となりますが、あらゆる接点で、ファンが“忘れられない良質な体験”をできるよう、改良を重ねていきます。


【ファンとの接点の例】

・店頭での接客
・コンタクトセンターの応対(メール、チャット、電話)
・SNS(Twitter、Instagram、LINE、TikTok、その他)
・イベント
・広報
・ネット記事

たとえば、スターバックスでは、店員が良質なブランド体験を提供していることが知られています顧客とフレンドリーに雑談を交わしたり、カップにメッセージを書いたり、ファンの心に残る接点が創出されるたびに、ファンの愛着が深まっていくのです。

自社のタッチポイントは、どうなっているでしょうか。

あらゆるタッチポイントを洗い出し、それらすべてを大切にして改善していきましょう。

3-3. ファンが参加できる場を増やし活気づける

3つめのアクションは「ファンが参加できる場」の創出です。

〈接点を改善する一方で、増やしていくことも必要〉
と佐藤氏は指摘しています。

ファンが気軽に参加でき、想いを共有できる場(=ファンになった人の行き場)を作ることが、確実に愛着を強くします。

具体的には、「ファンコミュニティ」が、これに当たります。

【ファンコミュニティの例】

出典:&KAGOME

近年では、ファンベース施策の一環として、企業・ブランドが自社運営のファンコミュニティを立ち上げるケースが増えています。


【ファンコミュニティとは?】

ファン同士が集い、投稿・コメントをし合ったり、イベントに参加したりする場。

コロナ禍の影響もあり、オンラインのコミュニティサイトを利用するユーザーが増え、多くのファンコミュニティが生まれている。

上記の『&KAGOME』は、ファンコミュニティの成功事例として知られており、佐藤氏の著書でも取り上げられています。

インタビュー記事を、「「KAGOMEらしさ」を追求したコミュニティ。ファンを中心に据えたマーケティング戦略に迫る」に掲載していますので、あわせてご覧ください。

ファンコミュニティの詳細は「ファンコミュニティ」にて、詳説しています。

4. ファンベースのアプローチ(3)信頼を強くする

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

最後となる3つめのアプローチは「信頼を強くする」です。

ファンの支持を強くするためには、企業の評価・評判を高める必要があります。

どんなに素晴らしい価値を提供していても、評価・評判の低い企業には、ファンがつきません。

真の評価・評判を獲得するためのアプローチが、「信頼」を築くことです。

【信頼を強くするアクション】

G. それは誠実なやり方か、自分に問いかける

H. 本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する

I. 社員の信頼を大切にし「最強のファン」 にする

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

以下で詳しく見ていきましょう。

4-1. それは誠実なやり方か自分に問いかける

近年、「誠実ではないやり方」が原因で、炎上する企業が増えています。

収益性やマーケティング成果を求めて業務に取り組む担当者が、気づかないうちにファンを裏切っている例は、少なくありません。

【見直したい施策の例】

・しつこいリターゲティング広告
・迷惑メルマガ
・唐突な電話営業
・自動再生される動画広告
・バズ狙いのPR記事
・品のないバナー広告
・わかりづらい解約プロセス

「これは、本当にファンのことを考えた、誠実なやり方なのか?」
という問いを、あらゆる施策に取り組むとき、自分に問いかけてください。

クリック率やコンバージョン率など短期的な利益のために、ファンの信頼を犠牲にするのは、ファンベースの考え方と逆行します。

中長期的な信頼構築を最優先として、施策をひとつずつ見直しましょう。

4-2. 本業を細部まで見せ丁寧に紹介する

次に、「この商品は間違いがない」ということを、もっとアピールすることに取り組みます。

商品力や品質が伴わなければ、評価・評判は上がらないからです。

商品力や品質の説得力を高める活動を強化するわけですが、ファンベースでは、
「根拠となる研究開発や製造工程、制作過程などを『開示』すること」
に特徴があります。

企業側は当然と思っていることも、生活者側にはまったくわからない。

研究所の開発現場も、工場などの製造現場も、メディアやコンテンツの制作現場も、知れば知るほど本当に「感動ポイントだらけ」である。

もっと開示して丁寧に紹介すべきだ。

それが「この企業の商品は間違いがない」「あそこはちゃんとしている」という信頼に直結する。

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年,  p.156

本業を細部まで見せ、丁寧に紹介することで、信頼を醸成していきます。

【開示する施策例】

・サイト内で商品やコンテンツが作られるまでの工程を見せる(工場、研究所、仕事場、作業場など)
・サイト内に開発者・制作者・技術者・職人の顔を出して紹介する
・工程やインタビューを動画にする
・商品が作られる現場(工場など)をリアルに訪れたファンに案内する(見学ツアーなど)
・獲得した賞や特許などをわかりやすく掲載する

4-3. 社員の信頼を大切にし「最強のファン」 にする

3つめのアクションは「社内」に対する取り組みです。

〈社員が自分の企業を信頼し、誇りを持って働いていることは、社外のファンの信頼に直結する。
自分の企業を信頼してない社員がたくさん働いている企業を、社外の誰が信頼するだろうか〉
と佐藤氏は述べています

【社員の信頼を大切にする実践例】

・創業の志、ミッションを共有し直す。深いレベルで浸透するように社内チームでのディスカッションや研修を行う。

・「我が社はちゃんとしている」と社員自身が思える状態へ、本業周りを整える。本業に対する誠実な意思の表示や、決して手を抜かない社の姿勢を見せる、など。

・社員の信頼を崩すことが、慣習的に行われていないか見直す。たとえば、対外的には「お客様第一主義」と謳っているのに、実際は「ノルマ必達主義」である、など。

以上が、ファンベースの土台となる「共感・愛着・信頼」を強くする施策です。

ここまでお読みいただくとおわかりのように、ファンベースは、感情論のあいまいな施策ではありません。

「ファンを大切にする仕組み」を、順序立てて構築していく、ロジカルな戦略といえます。

丁寧にひとつずつ取り組むことで、ファンを増やし、中長期的な価値創造が実現できます。

5. より深いファンベースの実践

最後に、より深くファンベースを実践していきたい方向けの情報をお届けします。

5-1. ファンベースの3つのアップグレード

「共感・愛着・信頼」を強くする施策をご紹介しましたが、ファンベース施策には、上級者向けの続きがあります。

「共感・愛着・信頼」施策への取り組みがしっかりできていることが前提となりますが、その次のフェーズとして「熱狂・無二・応援」の3つのアップグレード施策を行います。

【熱狂される存在になる】

J. 大切にしている価値をより前面に出す
K. 「身内」として扱い、 共に価値を上げていく

【無二の存在になる】

L. 忘れられない体験や感動を作る
M. コアファンと共創する

【応援される存在になる】

N. 人間をもっと見せる。 等身大の発信を増やす
O. ソーシャルグッドを追求する。 ファンの役に立つ

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.174

「熱狂・無二・応援」施策は、より支持が強いコアファンを作り、さらにLTVを高めるために効果的な施策です。

佐藤氏は、
〈全部をやる必要はない。どれかを小さく始めて継続することでコアファンの姿は見えてくる。とにかく一歩、踏み出すこと。担当できる範囲で始めてみること。それをオススメしたい〉
と述べています。

詳細は、佐藤氏の著書 『ファンベース』で詳しく解説されています。準備が整った方は、チャレンジしていきましょう。

5-2. 常に手元に置くべき3冊

この記事では、ファンベースの概要をキャッチアップしていただけるように、簡略化しながらファンベースを解説しました。

実践の際に、手元に置いてほしい3冊をご紹介します。

5-2-1. 『ファンベース』

・ファンベースの教科書となる、すべての人向けのバイブル
・かみ砕いたわかりやすい文体で、読みやすい
・具体例を挙げながら、ファンベースの真髄が丁寧に解説されている

本記事でも、上記『ファンベース』を主な参考文献として、ファンベースを解説しています。

5-2-2. 『ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー

・ファンベースを、現場レベルで具体的に理解するために最適
・ファンベースを実践した10社の具体的な取り組みとポイントがわかる
・漫画と対談形式でライトに読み進めやすい

『ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー』は、企業・ブランドの担当者の方が企画を立てるときに、そばに置きたい書籍です。

施策アイデアや、取り組みポイントの参考になります。

5-2-3. 『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』

・ファンベース視点の営業についてよく理解できる
・企業・ブランドだけでなく「個人(フリーランスなど)」にとって参考になる
・佐藤氏との対談形式でのファンベース解説がわかりやすい

『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』は、営業のカリスマ和田裕美氏の視点で書かれたファンベースの本です。

営業でファンベースを使いたい方や、個人でファンを作りたいフリーランスの方には、前述の2冊よりも、直結して参考になるポイントが多くあります。

6. まとめ

本記事では「ファンベース」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

ファンベースの基本として、以下を押さえておきましょう。

・「ファン」を何よりも大切にする考え方
・ファン=大切にしている価値を支持してくれる人
・“売る”より“つながり”のほうが大事な時代

ファンの支持を強くする3つのアプローチは、以下のとおりです。

【共感を強くする】

A. ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
B. ファンであることに自信を持ってもらう
C. ファンを喜ばせる。 新規顧客より優先する
【愛着を強くする】

D. 商品にストーリーやドラマを纏わせる
E. ファンとの接点を大切にし、 改善する
F. ファンが参加できる場を増やし、活気づける

【信頼を強くする】
G. それは誠実なやり方か、自分に問いかける
H. 本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I. 社員の信頼を大切にし「最強のファン」 にする

出典:佐藤尚之,『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

より深いファンベースの実践として、発展型である「熱狂・無二・応援」の3つのアップグレード施策があります。

実践の際には、以下の書籍を手元に置くことをおすすめします。

ファンとのつながりをベースとした新しい施策への取り組みを、誠実に、丁寧に、進めていきましょう。

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