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※2020年5月15日に開催したオンライン対談イベント「Withコロナ時代のユーザーエンゲージメント戦略」の一部を記事化したものです。
Sansan株式会社は「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに、名刺管理サービスを提供しているITシステムのベンダー。今回お話を伺うSansan株式会社の田中さんは、同社の法人向け名刺管理サービス「Sansan」にて5年以上カスタマーサクセスに従事されています。
カスタマーサクセスとは、顧客の成功に向けて“伴走”していく業務や職種・企業としての姿勢を示しており、SaaS企業を中心として近年ますます重要性が高まっています。
「2年前にSansanのコミュニティを立ち上げてから最近地方に来て、より一層コミュニティの重要性を感じる機会も多い」と語る田中さん。今回の対談は、大阪からのリモート対談です。
企業コミュニティ立ち上げは失敗するケースも少なくない中、田中さんが中心となり立ち上げたSansan Communityは立ち上げから1年で一定の成果を挙げています。田中さんは何を行ったのでしょうか?コミューン株式会社代表の高田・橋本が、一歩踏み込んで聞いてみました!
田中「カスタマーサクセス部は『お客様の成功に向けてSansanの価値を届け、LTV最大化を実現する』というミッションに向かって運営しています。より具体的には、お客様の導入後のご支援を通してお客様が解約してしまわないように、あるいはアップセルに導けるように取り組んでいます。その中でSansan Communityは非常に重要な位置にあります。」
田中「コミュニティ施策のチームは、このスライドの左下にあるカスタマーマーケティングという所に属しています。カスタマーサクセス本体は全体で50名ほど社員が在籍しています。 」
橋本「 こちらの資料にある「コミュニティ目的」というのは最初にバシッと決めたのでしょうか(笑)?それとも立ち上がりの段階で決めていったのでしょうか?」
田中「そこは最初にバシッと決めました(笑)。2か月くらいかけて当時の上長と話し合いながら決めたのですが、なぜここにこだわったかと言うと『ここでバシっと決めないと後に軸がブレる。するとどんなコミュニティなのかがわからなくなり、結果的にどんな効果が出ているのかもわからなくなるよね』という考えがあったからです。
今お見せしている資料、これはユーザーさん向けに説明した資料なんですね。こういった目的でコミュニティをやっていくんですよ、とユーザーさんに対してもお伝えした上でコミュニティ運営をスタートしました。」
田中「そしてつぎの資料は社内向けに作成したものです。ミッション・目的・KPIの3軸でコミュニティを整理しました。」
田中「 どこの企業様でもあるかなと思うのですが、コミュニティを始める時に『これって費用対効果どうやって計るの?』とか『これ何か意味あんの』みたいに、ちょっと頭ごなしに詰められてしまう、とよくご相談を受けたりするんです(笑)。ただ、当社の経営陣としては、『明確に何円の価値が出る』という証明それ自体よりは『しっかり効果が出ることを見据えた取り組みである』と示してほしいという意向だったんですね。なので、CS部門のミッション「顧客の成功」から落とし込まれた2つの目的、①ユーザーとの/ユーザー同士のコミュニケーションから成功体験をつくる、②ファンをつくる、があり、それに応じてKPIを敷くことで整理しました。」
高田「先ほどコミュニティをQ&Aの場として使っていると仰っていましたが、ユーザーさんにとって『Sansanを使っていてわからないことばかり』というわけではないじゃないですか。だとしたときに、どのようにQ&A以外でコミュニティという場に熱が持続するコンテンツ・仕掛けを用意されているのでしょうか?」
田中「コミュニティには、大きく2つの役割を持たせています。ひとつは、要望を投稿していただける「リクエストフォーラム」と呼ばれるスペースですね。もう一つはオフラインイベントの案内や事例紹介など、当社からの周知事項を投稿する「アナウンスメント」と呼ばれるスペースです。」
田中「話題が途絶えない仕組み作りというのは、コミュニティ設立当初から悩みましたね…。
ここを一定まで解決するために「Sansanイノベーションストーリーズ」という、ユーザーさんへのインタビューを通じて成功事例を記事にする施策に取り組みました。これまで大体50本弱できていますが、いわゆるマーケティング視点で作るSansanの導入事例というよりユーザーさん個人にフォーカスした事例をつくり、その記事をオンラインコミュニティに投稿したらまた別の方に…といったループを作るようにしていました。
そうすると「投稿するコンテンツがない」とか「イベントをやらないと盛り上がらない」みたいな状況に陥らず、ある程度定期的に投稿を継続することができます。この状態を最初の時期から作っていこうということで、OKRの成果指標にも入れて、CSM(カスタマーサクセスマネージャー)も一緒になって取り組みました。」
高田「そこにでてくるユーザーさんは、コミュニティで活発にアクションしてくださっている方が多いのでしょうか?」
田中「そうですね。そういった方々が中心に回答して下さったりしています。また、これらの事例に関して『ここをより深く知りたい』といった声があれば、またコミュニティに挙がってきます。そういった形で運営してますね。
このSansanイノベーションストーリーズは『事業推進を進める方の奮闘記』というテーマで始めました。このテーマを実際にも重視してまして、ROIがどれだけ出ているか、も見ていますが、いかにその方の努力が日の目を見るようなコンテンツにできるか、ということにも着目して取り組んでいる施策です。なので、記事作りにおいてもプロのカメラマンとライターさんに入って頂いてます。こちらは最近リリースした記事なのですが、カッコイイ写真を撮らせて頂きました。」
https://sin.sansan.com/stories/suf45/
高田「Q&A以外のところでも、こういった新鮮なコンテンツをユーザーさん向けにご提供していくことで、ユーザーさんからしてみれば「コミュニティにいけばなにかある!」みたいな楽しみがあるわけですね。」
田中「そう思って頂けていたらうれしいですね。」
田中さんが仰ったことはとても納得できました…!これまでコミュニティの立ち上げに成功している企業さまでは、担当者の方がコミュニティの目的やKPI、工数削減といった「不確かなもの」でもコミュニティ設立時に明確に周囲に示しているケースが多いです。やはり「決めて、やり抜く」は重要ですね。
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Sansan田中さんTwitter:@JiroTanaka33
コミューン高田Twitter:<a href="https://twitter.com/belgrou" target="blank" rel="noopener">@belgrou
コミューン橋本Twitter:@shotahash
この記事は、約1時間の対談の一部を記事化しています。対談の全てを収録したフル動画をご視聴になりたい方は、下記フォームよりお申し込みください。ご入力いただいたメールアドレス宛に動画へのアクセス方法をお送りいたします。
本動画では下記のトピックスを学べます。
・コミュニティ施策の成果がでる期間、成果の現れ方
・コミュニティのファーストピンになり得る方の見つけ方
・コミュニティ運営上の注力ポイントまとめ「3つの長」