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BtoBビジネスにおけるLTV(顧客生涯価値)とは? - カスタマーサクセス用語集

近年、既存顧客からの収益を安定・拡大させることが重視されるようになってきました。この傾向に拍車をかけているのが、SaaSやサブスクリプションといった、顧客と長期的な関係を築く必要があるビジネスモデルの流行です。
LTVは既存顧客からの収益を論じる場合、必ず登場すると言っても過言ではない指標です。今回は、LTVの計算方法、重要視される背景、そしてLTVを向上させるアプローチについて紹介したいと思います。

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTVとは、《ある顧客が取引を開始してから終えるまでの間に、その企業にもたらした利益の総額のこと》です。

「LIfe Time Value」の略で、直訳すると顧客生涯価値となります。その名の通り、利益の算出期間が顧客の生涯にわたることが特徴です。

LTVの計算方法

LTVを計算するために必要な要素は、主に以下の3つです。
①1回あたりの支払額、②その際の粗利率、③取引を終了するまでの期間
これらの3つの要素は扱う商材や販売方法の特性によって表し方が異なるため、複数の計算式が存在します。
支払いが発生するタイミングが定期的か不定期的かによって大まかに二分できるので、今回はそれぞれの計算式を紹介します。

・定期的に支払いが発生する商材

LTV = 期間あたりの平均単価 × 粗利率 × 平均継続期間

※ LTV = 期間あたりの平均単価 × 粗利率 ÷解約率
で表されることも多いです

例) 月額料金10万円、粗利率40%、平均継続期間28ヶ月
LTV = 100,000 × 0.4 × 28 = 1,120,000円

・不定期的に支払いが発生する商材

LTV = 1回あたりの購買単価 × 粗利率 × 平均購買回数 × 平均継続期間

例) 購買単価1万円、粗利率20%、平均購買回数50回/年、平均継続期間3年
LTV = 10,000 × 0.2 × 50 × 3 = 300,000円

LTVの計算方法

LTV (顧客生涯価値)が指標として重要な理由は?

LTVが重要視されるようになった背景として、既存顧客からの収益を安定・拡大させることが注目されたことが挙げられます。

「1:5の法則」や「5:25の法則」からもわかる通り、既存顧客の維持が利益に大きな影響を与えることはよく知られています。

「1:5の法則」:新規顧客の獲得には、既存顧客の維持の5倍のコストがかかるという法則

「5:25の法則」:顧客離れを5%改善すれば、利益は25%改善されるという法則

さらに近年は、市場の飽和や価値観の変容といった要因が重なり、より一層既存顧客の維持が重視されるようになってきています。

・市場の飽和

市場が成長している段階であれば、新規顧客の獲得により事業を伸ばすことができます。そのため、魅力的な商品の企画やプロモーションに注力することが経済的に合理性の高い行為でした。

しかし、市場が飽和するにつれて、次第に新規顧客の獲得が難しくなります。プロダクトやサービスが行き渡っている状態では、新たな需要を生み出すことは容易ではないからです。

そのため、既存顧客と長期的な関係を築き安定して利益を上げることが重視されるようになってきます。

・価値観の変容

また、「所有」ではなく「利用」が一般的になってきたことも、既存顧客の維持が重視されるようになった要因の一つです。

市場が飽和し良質で安価なモノが行き渡ることで、所有することがステイタスではなくなってきました。そこで、新たに登場したのが利用という選択肢です。シェアリングエコノミーに代表されるような、必要な時に必要な分だけ利用するという形態が一般化することで、顧客は必ずしも所有という選択肢を取らなくなりました。こうして、ますます新規顧客の獲得が難しくなる一方、利用型のサービスを提供する企業は既存顧客を繋ぎ止めることが必要になってきます。

近年になりLTVが重要視されるようになった背景

このように市場の飽和や価値観の変容といった変化により、既存顧客からの収益を増やすことが注目されるようになってきました。そのため、既存顧客からの収益を測る指標としてLTVが重視されるようになってきているのです。

サブスクリプションモデルでは特に重視される

特にサブスクリプションモデルの企業にとっては、LTVを計測することが非常に重要だとされています。なぜなら、継続的に利用してもらうことが前提のビジネスモデルであるため、生涯的な支払い総額を見なければ、事業の成長度合いやマーケティングへの投資額などの正確な判断ができないからです。

従来の売り切り型のビジネスモデルでは、顧客が料金を支払うのは購入時の一回きりでした。そのため、企業は販売時にこれまでのコストを回収できるような価格を設定しました。
一方、サブスクリプションモデルは、利用期間に応じて料金が発生します。そのため、契約時にこれまでのコストを回収できるような価格を設定することはできません。継続的に利用してもらうことで初めて、コストを回収し利益を上げることができるのです。

SaaSの場合一般的に、顧客を獲得するのにかかったコストを回収するのに12ヶ月間かかると言われています。裏を返すと、契約から12ヶ月間は赤字の状態が続くということです。そのため、短期的な視野で事業の状況を捉えてしまうと、正確な判断をくだすことができません。このことからも、LTVが重要な理由がわかるでしょう。

LTV (顧客生涯価値)を向上させるためには?

ロイヤルティ(愛着度)を向上させるという意識が大切

LTVを向上させるアプローチとして本質的なのは、顧客の企業に対するロイヤルティ(愛着度)の向上を試みることです。企業に対する愛着度が向上するからこそ、顧客は長期にわたり関係を維持してくれますし、さらなる関連サービスの購入や上位サービスへのアップグレードを果たしてくれるのです。

このような本質的な思考を欠いたまま、継続利用を促すポイントプログラムや上位サービスへの乗り換えを促す割引プランなどを用意しても、顧客の満足度の向上にはあまりつながらず、結果としてLTVの向上も望めないでしょう。

繰り返しになりますが、重要なのは顧客の企業に対するロイヤルティ(愛着度)を向上させようとすること、つまり顧客の成果を実現しようとすることです。その手段として相応しい施策を検討することが、LTVを向上させる正しい方向性となります。

構成要素に分解して考える

では、LTVを向上させるためには、具体的にどのようなアプローチがあるでしょうか。考え方としてわかりやすいのは、構成要素に分解しそれぞれの数値を改善することです。前述した計算式の項がLTVの構成要素になりますので、これらの数値一つ一つを改善する方法を紹介しましょう。

1. 1回あたりの支払額の増額

・アップセル

まず思い浮かびやすいのは、商材の単価自体を上げることではないでしょうか。現在、取引がある顧客に対して、より上位のプロダクトやサービスを紹介し乗り換えてもらうことをアップセルと言います。

アップセルが巧みな例として、Dropboxが挙げられます。2GBまでは無料で使用することができるフリーミアムモデルを採用しており、空き容量が少なくなってきた段階で有料プランへのアップグレードを勧めます。既にある程度使用し利用価値を実感しているので、より効果的に有料プランへの乗り換えを促すことができます。

・クロスセル

関連性の高い商材を開発し、合わせて購入してもらうことも有効な方法の一つです。これをクロスセルと言います。

この方法を実践しているお手本とも言えるのがAppleです。iPhoneに始まり、MacBook、iPad、AirPods、Apple Watchなど、様々な関連製品が用意されています。相互の利便性の高さやブランドの魅力に惹かれて、身の回りをApple製品で固めているという人も多いのではないでしょうか。

上記2つの方法も、ただ実践するだけではうまくいかないでしょう。成功させるためには以下の3つの点を意識することが必要です。

①ロイヤルティ(愛着度)は十分か

購買単価を上げようとすることは、言わば新たな出費を求めるということです。ロイヤルティ(愛着度)が高ければ「さらなる成果を得られるかもしれない」と期待も高まるかもしれませんが、低い場合はかえって印象を悪くしてしまうでしょう。現状の満足感や信頼感を意識しておくことは大切です。

②ニーズは踏まえているか

顧客のニーズの認識が不十分だと、導入してもお互い不幸な結果になってしまいます。ニーズを的確に把握できるように、既存製品の利用状況・成果や担当者の所感など、なるべく多くの情報を蓄積しておくことが重要です。それらを分析することで、顧客側に新たなニーズが発生した際に、適切な提案を行うことができます。

③タイミングは相応しいか

①②を満たしていたとしても、タイミングを誤ると取れる契約も逃すことになりかねません。BtoBの場合、最適なタイミングと言えるのは「契約を更新するとき」「予算を捻出するとき」「事業拡大などで新たなニーズが生まれたとき」などです。普段から定期的なコミュニケーションを実施し、顧客の情報を分析しておくことが大切だと言えるでしょう。

2. 粗利率の改善

粗利率を改善するためには、購買単価を上げるかコストを減らすかの2つの方向性しかありません。購買単価を上げる方法は前述した通りですので、コストを減らす方法を紹介します。

・業務自体の効率化

まずは、業務自体を効率化するという方法があげられます。例えば、CRMやSFAなどのツールの導入は有効でしょう。社内のデータ共有やリソースの最適な配分が進み、より小さなコストと時間で大きな成果をあげられるようになります。

・ウェビナーやメルマガの実施

また、確度の高い顧客に対して効果的にプロモーションすることも重要です。ウェビナーは、低コストで温度感の高い見込み顧客にアプローチできるので有効な手段と言えます。メルマガは、現時点で商談につながらなかった顧客に対しても継続的に興味関心を喚起することができるので、後の商談につなげるための施策として重要です。

3. 取引期間の長期化

・セルフサービス用コンテンツの拡充

顧客自らが問題を解決できるようなコンテンツの充実は、顧客満足度の向上に寄与します。電話やメールでお問い合わせをするより、サイトなどを見て自ら解決できる方が望ましいと考える方は多いのではないでしょうか。FAQや活用動画、お役立ち記事などは、用意するのに時間や手間はかかりますが、その分資産として残るので長期的に効果を発揮するでしょう。

・手厚いアフターフォロー

アフターフォローの質を高めることも、購買頻度の増加や契約期間の長期化につながります。特に、サービスを導入した初期段階は利用価値を実感しづらいため、手厚いフォローを行うことが大切です。継続的、長期的に利用してもらうために最も障壁となるのが導入初期なので、定期的にコンタクトを取って利用状況を確認することが大事になります。

・・・

大切なのは「LTVを向上させる際に意識を向けるべきは顧客のロイヤルティ(愛着度)の向上である」という点です。この点を抑えておかなければ、表面的な施策に終わりLTVの向上には結びつかないでしょう。

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